鉄塔と聞くと、みなさんはどんなイメージを持ちますか?
実は、鉄塔にも熱狂的なファンが存在し、その魅力に取り憑かれている人々がいます。
そこで、今回は鉄塔に詳しい鉄塔ファンのおでんずんださんに取材し、鉄塔の魅力について聞いてみました!
おでんずんださんは高校、専門学校と全て理系の道に進み、現在は大手の時計店で働いています。
なお、おでんずんださんはエネルギーの専門家ではありませんので、記事内の情報については100パーセントの正確性を保証するものではありません。
しかし、少しでも鉄塔の面白さを理解していただけるように努めてまいります。
鉄塔の知られざる魅力を共有し、読者の皆さんに新たな視点を提供することが、本記事のゴールです。
鉄塔に興味を持ったきっかけ
聞き手:まずはじめに、鉄塔に興味を持ったきっかけを教えていただけますか?一般の人は、生活していて鉄塔に関心を持つことはあまりないと思います。そんな中、どうして鉄塔が好きになったのですか?
おでんずんだ:そうですね。
私は長野県出身で、周りが山に囲まれているんです。ある日、山間部の鉄塔は他とは異なる形状をしていると気づきました。そのとき、「なぜあんな形をしているのか」という単純な疑問が湧いたんですね。
その後、工業の道に進み、電気の勉強をする中で鉄塔に関する知識や、電気系の知識を深めました。そこで鉄塔の形状には意図があることを知り、地域ごとに特徴があることにも気付きました。それからはさまざまな鉄塔に意識を向けるようになりました。
聞き手:最初はなんとなく「なぜあんな形なのか」という疑問から入り、勉強を進めるにつれてますます興味が湧いてきたということですね。
鉄塔の基本的な役割と機能
聞き手:一般人にとって、鉄塔はあまり馴染みのない存在。そんな鉄塔について、基本的な役割を教えていただけますか?
おでんずんだ:はい。まず、鉄塔が運んでいるのは電気です。
電気は発電所で発生し、送電線を通って変電所に運ばれます。変電所で電力が変換され、家庭などへ供給される仕組みです。鉄塔はこの送電線を支える役割を担っています。
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具体的な流れとしては、発電所から送電線を通じて一次変電所に電力が運ばれ、さらに送電線を通じて二次変電所に供給されます。そして最終的には配電線を通じて家庭や建物へ電力が届けられるのです。
聞き手:なるほど。ちなみに、送電線と配電線には何か違いがあるのでしょうか?
おでんずんだ:はい、そうですね。送電線は発電所から直接電力を取り、大電圧で送られる電線です。一方、私たちの身近な家庭に供給される電力は、配電線の方が使われます。送電線と配電線は目的や使用される電圧などが異なるため、区別されています。
鉄塔は主に送電線を支える役割を果たしているのです。
鉄塔と電柱
聞き手:そもそもなぜ、鉄塔を使うのでしょうか?電柱ではダメなんでしょうか?
おでんずんだ:鉄塔を使って送電する理由については、少し複雑な話になりますが、電気の授業などで学んだことを思い出すと理解しやすいかもしれません。
オームの法則などで学んだように、電圧が高ければ高いほど、安定した電力を供給できます。
電柱では、低電圧の配電線を支えるのに適していますが、高電圧の送電線を支えるには限界があります。鉄塔は高い耐久性と安定性を持ち、大電圧の送電線を支えることができるのです。
聞き手:なるほど、電圧が高いほど安定性が増すんですね。確かに、電柱だけだと効率が悪いですもんね(笑)。
いろんなタイプの鉄塔
聞き手:では、次に鉄塔の種類や形状についてお聞きしたいです。
おでんずんだ:まずは下記のおおまかな分類があります。
・四角鉄塔:最もスタンダードなタイプ
・烏帽子型鉄塔:積雪地域に設置されている
・矩形鉄塔:変電所や鉄道設備などの周辺に多い
・ドナウ型鉄塔:高さを抑える目的で用いられる。飛行場周辺など
電気を送るための鉄塔は、一般的に四角型の鉄塔がよく見られます。これは上に伸びていて、横に手が突き出しているような形状をしています。
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それぞれの鉄塔には特徴があり、環境や用途によって鉄塔に求められる条件や設計が異なります。
そのため、様々な形状の鉄塔が存在するのです。
最も一般的な鉄塔の形状は四角型のもので、一般的には「四角鉄塔」と呼ばれています。
ではなぜこの四角型鉄塔が一般的なのか。それは高さが確保しやすいからです。
鉄塔は人が触れることがないように設計されており、漏電が起きた場合でも人体に影響が及ばない範囲に収まるように意識されています。
そのため、高さ80メートルや40メートルといった高さが設定されています。四角型の鉄塔は、その高さを効果的に確保しやすく、製造も比較的容易であり、強度もわかりやすく計算されるため、非常に一般的な形状となっています。
聞き手:なるほど。電線が露出しているから、高さを確保する必要がるのですね。
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おでんずんだ:はいそうです。また、烏帽子型の鉄塔は積雪地域でよく使われる形状です。
雪が電線に付着してしまうと、雪が解けて落ちる際に電線が跳ね上がることがあります。その結果、電線同士が接触してしまい、短絡やその他の問題が生じる可能性があります。そのような事態を防ぐために、積雪が多い地域では烏帽子型(えぼしがた)の鉄塔が採用されています。
鉄塔の形状は、それぞれの役割や環境に合わせて設計されており、安全性や効率性を追求しています。さまざまなタイプの鉄塔が存在することで、効果的な電力供給が行われているのです。
聞き手:地域によって様々な形状がある。そこに面白さがあるのですね。
日常に溶け込む鉄塔の魅力
聞き手: 鉄塔って日常に溶け込みすぎて、なかなか気づかない人が多いですよね。でも、鉄塔に興味を持つ人たちにとっては、何か特別な魅力があるのでしょうか?
おでんずんだ:そうですね。実際に鉄塔を観察してみると、その種類や形状にはさまざまな魅力があります。例えば、地域ごとに異なるデザインや役割があり、その多様性が鉄塔の魅力の一つとなっています。シンプルながらも迫力のあるサイズや風景に溶け込む姿も見る者を惹きつける要素です。
聞き手:なるほど、鉄塔の種類や形状の多様性が魅力の一つなんですね。
おでんずんだ:そうですね。鉄塔には無機物ながらも独特の魅力があります。工業製品なので似ているものも多く見られますが、実際には多様な鉄塔が存在していて、違いを楽しむことができるのです。
意識してみると結構面白いですよ。それぞれが自分なりの魅力を見つけるんです。
聞き手:そう言われると、今後から鉄塔を見てみようって思いますね。
ラインマンという仕事
聞き手:ネット上ではどのようなコミュニティがあるのですか?
おでんずんだ:「ラインマンネットワーク」というサイトがあります。
彼らは鉄塔を収集し、カードやTシャツ、鉄塔のペーパークラフトなどグッズにしています。東京電力ともコラボしていて、工事から設計まで全てを詳しく解説しています。
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聞き手:ラインマンって鉄塔の上に登って作業する人たちなんですね。初めてその仕事を知りました。にしても、鉄塔の保守や点検など、意外と人の手が必要なんですね。
おでんずんだ: そうですね。自動化やロボットも使われていますが、山間部などでは作業が難しく、手作業が必要な場合も多いです。鉄塔は私たちの電気供給を安定させるために欠かせない存在なんですよ。だから、定期的な点検や修理が欠かせないんですね。ラインマンは停電時の復旧にも貢献しているんですよ。
聞き手: すごい。本当にライフラインを支える仕事ですね。その背後にある努力を知ると、ますます感謝の気持ちが湧いてきます。鉄塔に関しても、当たり前すぎて気にも留めなかったのですが、今回のお話で鉄塔を見る意識が変わりそうです。
最後に
今回のインタビューを通じて、鉄塔や電力供給に対する新たな視点を得ることができました。
鉄塔という身近な存在に対しても、知識を深めることでその重要性や役割が明確になり、魅力的な世界が広がっていることに気づきました。
特に、地域ごとに最適化された電力供給の仕組みに感銘を受けました。鉄塔を通じて、私たちの快適な生活には多くの人々の努力が欠かせないことが分かりました。彼らの尽力があってこそ、当たり前に電気が使えているのです。
おでんずんださん、ありがとうございました!
(取材・文・アイキャッチ制作=畑山)